ISA−赤ちゃんの急死を考える会
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赤ちゃん、うつぶせ寝で苦しくないですか・・・
うつぶせ寝は危険です
赤ちゃんを、事故から守りましょう

ISA−赤ちゃんの急死を考える会

■ 講演内容(テキスト版)

第8回SIDS学会で講演
[ ISA−赤ちゃんの急死を考える会 ] 会長/櫛毛冨久美

私達、病院や保育所で子供を亡くした親に、この様な貴重な場をご提供くださいましたことに心から御礼申し上げます。

まず、事実経過からは、とてもSIDSとは言えないような事例もSIDSと処理されている現実をお話させていただきます。9年前、私の赤ちゃんは新生児室でうつぶせで死んでいるのを看護婦に発見されました。よく泣くという理由だけで生後1日の我が子はうつぶせ寝にされ、2時間半以上放置され、発見時は唇が真っ黒になるほど変わり果てた姿になっていました。

当日から、病院側は窒息と認め、警察の実況見分、司法解剖の結果も窒息でした。しかし、半年後に一転して、病院側は「SIDSだから責任はない」と主張するに至りました。

悲嘆にくれる中、「何故、我が子が死ななければならなかったのか」 「SIDSと窒息の違いは何か」 真実を求めて立ち上がりました。声をあげた私の元に 病院・保育所で赤ちゃんを亡くした親達の悲痛な叫びが毎日のように届きます。現在、会員約80名、そのほとんどが 「うつぶせ寝」 「長時間の放置」 「死後の発見」 繰り返し 繰り返し 同じ状況の中、教訓が活かされず、赤ちゃんが死に続けています。

「SIDS」と「窒息」その診断をされるとき、多くの先生方が熟慮の末、つけている事と思いますが、その付いてしまった診断によって、大きく結果が違ってくるという現実があります。SIDSであれば不可抗力で責任も謝罪もなし。窒息なら過失と認められ謝罪もされ 具体的な改善もされます。沢山の事例の中の二つをご紹介します。

千葉のTさん、4ヶ月の男児、細気管支炎で入院中、うつぶせで大人用の氷枕に顔を埋め、心肺停止状態で発見。横向きにさせた乳児の背中に、あやす目的で肩こり用のバイブレーターをあてた為、寝返りをうち、うつぶせになってしまいました。当初、病院側は窒息と認めていたにもかかわらず、現在は「SIDSの可能性が高い」と主張し裁判中です。

二番目の事例は当事者が真実を語り、事実が判明した非常に稀なケースです。埼玉のAさん、7ヶ月の女児を保育ママに預けたところ、うつぶせで心停止で発見。保育ママの第一声は「窒息させてごめんなさい。」と謝罪の言葉でした。

しかし、運ばれたK医療センターの診断は「SIDSの疑い」。SIDSが出たとたん、警察の捜査はストップ。保育ママも「こんなことってあるんですね」と一切謝罪の言葉も無くなりました。

その後、母親が疑問を抱いていたことと、私共の会のアドバイスもあり、保育ママに死亡状況を尋ねたところ「顔が真下に向いていたこと」「布団が身体に巻きついていたこと」を正直に話してくれました。そして、警察の再調査と解剖の結果により、窒息の可能性が高いと診断されました。   死因が窒息死と認められたことにより、市長もAさんに謝罪し、親の保育行政への要望が受け入れられ、埼玉の草加市では保育ママも複数で保育にあたるよう条例で改善されました。このケースは事故と認められたことで、教訓となり保育が改善され、親が、一番望んでいた「子供の死を無駄にしない」という思いがかないました。

次に、SIDSの弊害として、過去21件の乳幼児の突然死が判明した無認可託児室T園の実態をお話します。昨年、東京池袋で、一つのベッドに二人の乳児を寝かせて、乳児の顔の上に別の子が被さって窒息死したという事件がありました。今日は、そのお母さんも会場に見えています。事故直後、彼女と私は死亡現場に入り、保育士は誰も在室していなかったことがわかりました。しかし、誰が一つのベッドに二人の乳児を入れたのかは、直接過失になることは、誰も認めませんでした。

また、この託児所は監督省庁に対し、「発見の2分前には異常は無かった」「SIDSという病気も考えられる」との報告をしていました。21件の死亡事故のうち謝罪を受けたのは刑事事件となったこの事件のみ。あとはSIDSや原因不明の病気で処理されたため、何の責任もとられませんでした。埼玉・川口のMさんのケース、1才3ヶ月の子が巾着ひもに首がぶらさがって窒息死したという事件ですら、T園と保険会社はSIDSと言い出しました。

病院・保育施設での死亡事故では、当事者は、まず自分の立場を守ろうとします。赤ちゃん故に物言えず、密室故に簡単に真実が隠蔽されます。約80例の乳幼児の急死に直面した遺族として、皆様にお願いしたいことがあります。

まず、解剖で精査するとともに、SIDSと窒息が解剖でも判別できないという現状を踏まえ、死亡状況を中立で正確に把握するシステムを作る必要があります。

原因不明の病死という前に、乳児の回避能力を含めて窒息の研究がおざなりになっているように思います。又、新生児室での死亡事故が多いことからも、まず、TVカメラを設置して予防と研究に努めてほしいと思います。私たちは、約80件の鑑定書、死体検案書等を収集してきた実績から、窒息を証明するのには、解剖所見にくわえて、死亡状況(顔が真下をむき、鼻と口が塞がったという証拠)が明らかになれば、誰もが窒息と納得する、社会的な常識だと思っています。

しかし、全ての赤ちゃんに回避能力が備わっているという見方もあるようです。でも、私達の赤ちゃんは、ただ単にうつぶせ寝という条件だけでなく、同時に布団などの寝具・身につけているもの・当日の赤ちゃんの体調・寝返りし始めの発達的要素・放置された時間等の複数の悪条件が重なり、痛ましい死に至っている例がほとんどです。乳児の窒息からの回避能力については、広く、科学的な研究が早急に必要です。

「氷枕に顔を埋めた」「うつぶせ寝で2時間半放置」「布団を頭から被っていた」「死んで発見」、このような事実を前に、すべてを回避能力があるということでSIDSとして判断していくことに問題はないのでしょうか。私達は、SIDSそのものをより科学的に深めて欲しいと思っています。私達の提案が実現されることによって、子供の命が救われることにつながると思います。

それには、医療現場に携わる先生方や看護婦さんの協力が是非必要です。もちろん、私達も協力は惜しみません。私達、子供を亡くした親の、子供の奪われた未来に思いを寄せながら、二度と同じ事を繰り返させないという、心の底からの叫びを受け止めて頂けたらと思います。
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保育事故を繰り返さないために

かけがえのない幼い命のためにすべきこと

武田さち子/著
赤ちゃんの急死を考える会/企画・監修

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死を招いた保育
ルポルタージュ上尾保育所事件の真相

著者名 : 猪熊弘子
出版社 : ひとなる書房

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SIDSを乗りこえて
乳幼児突然死症候群
わが子の死、なぜ

著 者 名:
河野啓子・河野明
(ISA-赤ちゃんの急死を考える会)

解説:志保ちゃん事件弁護団
出 版 社:同時代社

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菜穂へ、そして未来を絶たれた天使たちへ ⇒ 詳細ページ

菜穂へ、そして未来を絶たれた天使たちへ

著 者 名: ISA会長 櫛毛冨久美
企画監修著:油井香代子

出版社:小学館

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